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平日朝八時から観客二人(自分含む)の映画館でキメる『アトミック・ブロンド』はどんなに控えめに表しても最高の映画体験でしかなく、俺は映画館を出てから衝動的にウォッカを買いに走った

 ……というわけで、タイトルだけで何を観てどんな衝撃を受けたのかわかっていただけると思うんですが。


 『アトミック・ブロンド』最高でした。

 観客二人の朝の映画館というシチュエーションも相まって、最高でした。

 観終わった瞬間に

「あーはいはいはいはいはいはいはいはい!!!!!アトミックブロンド!!!!アトミッッッッッッッッックブロンド!!!!!!!!」

 ってなったぐらいに最高でした。

 内容としては、ベルリンの壁崩壊直前(マジで直前)のベルリンを舞台に、MI6のスパイがKGBを相手に極秘のマイクロチップを入手しようとするところにCIAやフランス諜報部も入り混じって事態がどんどん混迷していくっていう、平たく書くとそれだけの話なんですが。

 間違いなくアクション映画ですしスパイ映画なんですけど、女エージェントの華麗なスパイアクション(アクションはかなりあるけど華麗ではない)を期待していた人や、007のような娯楽アクション映画を期待していた人は、いまいちどこでカタルシスを感じればいいのか戸惑うと思います。

 この映画、地味なんですよ。

 いや、派手なんですけど、アクションとか演出とか。

 ただ物語としての起伏はそれほど激しくあるわけではなく、やってることはアクションなんですけど、話の展開は、誰がスパイで誰が味方で、それぞれの目的はなんなのかっていう人間同士の腹の探り合いなんで、けっこうそれぞれの人物たちは慎重に動いたり暗躍したりするばっかりなんですよね。

 だからわかりやすく「〇〇すれば世界が(と言うか味方陣営が)救える!!」とか「〇〇しないと世界が滅びる!!」とか「〇〇という強大な敵を倒せ!!」とかいう物語のゴールもないし、そもそも誰がどういう思惑で動いているのか、どちら側についてるのかが少し複雑だったりもしますし、見目に派手なアクション(爆発三昧とか、マシンガン&マシンガン&ミサイルの豪華絢爛な銃撃戦とか遠大な土地と予算を使った手に汗握るカーアクション)とかがあるわけでもないし、何よりも色調がずっと暗いので、たぶん「女スパイ+アクション」っていうので想像してみた人は少し肩透かしをくらうと言うか、違和感覚えるかもしれません。


 でも大丈夫、シャーリーズ・セロンの生々しいまでの痛烈なアクションに慄けばいいんです!

 とにかくシャーリーズ・セロンのアクションがすごい、すごすぎる。

 いや、僕、映画観てるときに「この役者さんはこんなことできてすごいなあ」みたいな視点で観るってことそうないんですけど。

 シャーリーズ・セロンは凄い。

 圧倒的でした。

 アクションの一つ一つが生々しい。

 「殴った、蹴った、投げ飛ばした、でも敵が立ち上がった、だからまた殴った、倒した」

という一連のなんでもないアクションシーンが

「殴った、お返しに結構殴られた、結構殴られて痛いけど蹴った、蹴られた敵があまり効いていなくてそれでも向かってきた、ほうほうのていで投げ飛ばした、敵が呻いて悶えている間にもこちらの殴られたダメージは甚大でぜえはあぜえはあ言いながらとどめを刺そうとふらふら歩いていきなんとか渾身の一撃を食らわせた、倒された敵はぴくぴく動きながらも階段を転げ落ちていきやっと動かなくなった」

みたいな。

一つ一つのアクションの動機と表現が丁寧なんですね。
監督は『ジョンウィック』の監督とのことですが、確かにあの映画も淡々と殺しまくっていて凄まじかったんですが、もう、そこを越えてますね。

そして何より素晴らしいと思ったのは、ダメージの表現なんですよ。

美しいスパイであるシャーリーズ・セロンなんですが、肉弾戦を繰り広げていく度に生々しい傷か増えていくんですね。アザとか切り傷とか。顔にも出ますし、体にも。
それらは恐らく本当に傷になっているようなものもあるとは思うんですが、アクションシーンで実際にはこう受けているであろうって傷を生々しくメイクで残していっているわけです!

あの、よくバトル漫画やアクション映画で、けっこう激しく戦ったはずなのに次のシーンでは傷も残ってない、みたいなのがないんすよ!

そうして戦っていくシャーリーズ・セロンは回を増すごとに、もう本当に、本当にボロボロになっていきます。
かなり、痛々しいわけです。
それなのになぜ彼女は戦い続けるのか、戦い続けなくてはいけないのか。
ほとんどその内心の描写はされず、あくまでプロフェッショナルとして鉄面皮のまま傷ついていくシャーリーズ・セロンしか描写はされておりません、しかし、シーンの端々から、傷の一つ一つから、彼女の諦観や怒りやそして少しだけの哀しさが伝わってくるのです。
そしてそれはかなりの名脇役というか第二の主役でさえあるジェームズ・マカヴォイやその他のスパイたちからも伝わってくる、スパイという人種そのものの哀しさであったり諦めなんです。

パンフレットにも書いてありましたが、実際に冷戦下のスパイは社会不適合者的な人々をスカウトして使っていた場面も少なくなかったそうで、そういう、マイノリティの社会に対する姿勢、みたいなものにも作中少し触れられていました。

もちろんアクション観るだけでも楽しい映画ではあるんですが、特筆すべきはそのアクションからも伝わってくるストーリーがある、実は繊細な映画だということです。
アクション作品という枠組みの中でスパイという人種の描写を淡々とし続けていく女版ハードボイルドって感じ。そう、淡々と。


あ、あと、この映画、確かにシャーリーズ・セロンのどぎつさが全面に出ている映画ではあるんですが、ジェームズ・マカヴォイの映画でもありますからね!
あの『フィルス』でみたグッシャグシャのマカヴォイが今作も大活躍しておりますよ!


イヤーもう一回映画館で観たいけど、もう無理だろうなあ。
あの、15分くらい?ノーカットでアクションからカーチェイスまで行ったのとかスゴすぎた。
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